いわきMediaプロジェクト

この動画は、「メディア・コンテ」を通じ、福島県いわき市の東日本国際大学・福祉環境学部の学生が、愛知県名古屋市の愛知淑徳大学・メディアプロデュース学部の学生たちの協力を得て作り上げた作品です。 いわきで日常生活を送る学生と、それまでマスメディアを通していわきを知っていた愛知淑徳大学の学生たちとが、いわきの<いま>について、対話を重ねながら表現・発信しました。

ひとりひとりの思いが詰まった動画です。 ぜひ、御覧ください。※字幕表示はありません。音声を上げてご覧下さい。 音声は日本語です。

メディア・コンテは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)「情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築(代表:須永剛司)」東京大学水越グループの受託研究として開発した文化プログラムです。愛知淑徳大学メディアプロデュース学部の小川明子・伊藤昌亮・溝尻真也が中心となって、各組織、団体と恊働的に実施しています。

「メディア・コンテ」とは?

私たちが暮らしのなかで感じる、なにげない想いや意見を、写真と声を使った2分程度の映像(デジタル・ストーリー)にしていくワークショップです。震災・原発事故から半年を経た2011年11月、東日本国際大学の学生有志は日常のふとした思いやいまだからこそ聞いてほしい自分たちの物語を、2日間という短い時間の中ではありましたが、名古屋市の同世代の学生と一緒に表現しました。

「二日間のプログラム」

二日間のプラグラムは下記のとおりです。

【一日目】(場所:東日本国際大学、いわき市内)

  1. 10:30-12:00 作品のテーマを決めるためのディスカッション
  2. 12:30-15:00 取材、写真撮影
  3. 15:00-16:00 撮ってきた写真を選びながら、作品のあらすじを組み立てる
  4. 16:00-17:00 作品のあらずじ発表会、講評会

【二日目】(場所:LATOV産業創造館PC学習室)

  1. 10:30-12:00 組み立てたあらすじをもとに、写真を並べていく。写真に合わせてナレーションの原稿を作成する。
  2. 12:30-15:00 ナレーションの録音と映像編集
  3. 15:00-16:00 完成作品上映会(一般公開)

取材・写真撮影

二日間、彼らはいわき市内のいろいろな場所に足を運び、取材しました。普段は特に気を留めないような風景に目を凝らし、また取材の過程で出会ったさまざまな人々と言葉を交わしながら、いわきという場所やそこでの生活にまつわる多様な想いの表現を模索しました。

作品制作の過程での試行錯誤

いわきの生活にまつわる多様な想いを表現する際、自分とは立場の違う人たちに、どのような言葉や映像を、どのように使って表現すれば、自分の想いが伝わるのか、それまでは接したことのない、いわき市と名古屋の大学生が言葉を交わし、試行錯誤を重ねました。

手法・編集

今回の動画は、20~30枚程度の写真を用いたスライドショーに、自分自身の語りを録音し、2分程度の短い映像作品にする『デジタル・ストーリーテリング』という手法をとりました。

編集は、pcに標準搭載されている、簡易版映像編集ソフトを使用しました。 普段使わないツールを活用することで、今後も積極的にデジタル機器などを使いこなしてもらいたいという想いも込められていました.

地域への/からの情報発信

二日間のワークショップで制作された作品は、JRいわき駅前にあるLATOV「いわき産業創造館」で一般公開の上映会で発表された。こうした活動からは、現在いわきに住んでいる若者たちのメッセージのみならず、いまの大学教育や地域活動に必要な何かが示唆されているのではないだろうか。

「メディア・コンテ」の特徴

○声なき思いに物語を

誰にでも語るべき物語があるでしょう。でも自分にとって何が物語になるのか、それをどう語るか、意識していない人が多いのではないでしょうか。その人たちは、もやもやした想いや不満を抱えながらも、それを表現するすべを知らず、日々の仕事や生活のなかで、お仕着せの物語を生きています。その人たちの言葉にならない言葉、声なき想いに形を与え、物語にしていくことがメディア・コンテの目的です。

○遊びから芽生える物語

それでは、声なき想いを物語にしていくには何が必要なのでしょうか。 「話す」という行為と違って、誰かに対して語るという行為は、日常とは異なる視点からものごとを見たり考えたりすることが必要になります。そこでメディア・コンテでは、日常の自分から離れて新たな発想をもたらすために、わくわくするゲーム的プログラムを数多く準備し、参加者間の出会いを通した、思いもかけないアイディア、表現を生み出そうとしています。

○対話から紡がれる物語

物語とは、自分の中からだけ生まれるものではなく、それを語りかける誰かとの間に生まれてくるものです。誰かの話に耳を傾け、そのなかから物語の種を見いだし、それを芽吹かせていくのは、語り手と聞き手の共同作業です。自分にとって当たり前のことが誰かにはとても面白いことだったり、その逆があったり。対話によって自分自身やその環境を見直すことで、新たな視点や世界観を得ることができるようになります。

○ローカルメディアとの協働

作られた物語は、完成後、参加者全員で視聴するほか、地元ケーブルテレビなどでも放送してもらいます。同じ地域に暮らしていても、その地域の人が何を考え、どんなことを想っているのか、話したり、聞いたりする機会は意外とないものです。メディア・コンテでは、ローカルメディアとの恊働によって、ワークショップの場を開かれたものにすると同時に、ローカルメディアにも新たな視点や方法を注ぎ込むことができればと考えています。

「メディア・コンテ」詳しくはこちらから ※「メディア・コンテ」のサイトに移動します。